彼と別れた瞬間、チャラいドクターからの求愛が止まりません

 「チキン南蛮」

 「……あ、チキン南蛮」

 びっくりした。なんだ、そっちか。

 ちょっと拍子抜けしてしまう。

 「……はい、好きです。どうしてですか?」

 「ん?なんとなく」

 そう言って先生は笑う。

 その顔を見て、ふと違和感を覚えた。

 「先生、顔が少し赤いですけど……大丈夫ですか?」

 「ん?大丈夫大丈夫。思ってたより強烈だっただけ」

 「……なにがですか?」

 私の問いに先生は少し困ったように笑い、箸を置いて私を見た。

 「好きってワードが」

 優しい眼差しの奥に、熱が宿っている気がして。

 たまらず視線を定食に落とした。

 顔が熱い。

 「あ、あの……チキン南蛮のことですよ?」

 「うん。あれ、今度は吉岡さん、顔が赤いね?」

 そう言って楽しそうに笑う先生。

 「せ、先生のせいです」

 「おれ?それは嬉しいな。俺だけの前にしてよ?そんな可愛い顔するの」

 「ちょ、先生っ」

 小声と視線で必死に抗議する。

 ここ、職場なのに。
< 99 / 122 >

この作品をシェア

pagetop