月とスッポン 一生に一度と言わず
彩華さんのためのお金、国に払わないといけないお金、生きるためのお金と、掻き集めた少ないお金から算出すれば、残るはわずか。
贅沢や自分ご褒美なんてできるわけがなく、色々な人の手を借りて海と2人で生き延びてきた。
2人だからなんとかなった。
でも、海は本来の世界に帰ってしまった。
与えられて当然だったものを受け取れる世界に。
海は今高級マンションに慶太郎と一緒に住んでいる。泰臣さんが所有しているマンションで、セキュリティ上ここに住んで欲しいとお願いされたと聞いている。
あんなふざけた慶太郎もエリートの部類に入るようで、惜しみなく海に貢いでいる。
少しでも大河と対等でいたいと、財布の中身や銀行残高を必死に思い出そうとしている私が、彼らと肩を並べようなんぞ烏滸がましいにも程がある。
せっかくきた念願の宇治橋鳥居の感想も薄れる。
大河が私の隣に並ぶ。いつもに流れだと、人に流されないように手を差し出された。
それを阻止するためにスマホを取り出し、写真を撮る。
鳥居をくぐり、宇治橋から五十鈴川に建てられて杭は何のためだろうと思いつつ、写真に収める。
贅沢や自分ご褒美なんてできるわけがなく、色々な人の手を借りて海と2人で生き延びてきた。
2人だからなんとかなった。
でも、海は本来の世界に帰ってしまった。
与えられて当然だったものを受け取れる世界に。
海は今高級マンションに慶太郎と一緒に住んでいる。泰臣さんが所有しているマンションで、セキュリティ上ここに住んで欲しいとお願いされたと聞いている。
あんなふざけた慶太郎もエリートの部類に入るようで、惜しみなく海に貢いでいる。
少しでも大河と対等でいたいと、財布の中身や銀行残高を必死に思い出そうとしている私が、彼らと肩を並べようなんぞ烏滸がましいにも程がある。
せっかくきた念願の宇治橋鳥居の感想も薄れる。
大河が私の隣に並ぶ。いつもに流れだと、人に流されないように手を差し出された。
それを阻止するためにスマホを取り出し、写真を撮る。
鳥居をくぐり、宇治橋から五十鈴川に建てられて杭は何のためだろうと思いつつ、写真に収める。