月とスッポン  一生に一度と言わず
私は怒っているんだ。
微笑まないで欲しい。

「お正月に父と話していたではないですか?」

正月?
【ひとり引きこもりほろ酔い正月】を実施していたら、気付いたら箱根に拉致られ、桃鉄をやったあの謎の正月か!

そんな話を私は泰臣さんとしただろうか?

「『新年が落ち着く2月か3月に実際に電車で伊勢に行く』と宣言していましたので、そろそろなのではないかと」

そんな事を言った気がしないでもない。

「達哉さんに聞いたところ、ソワソワしながら『特に』と言っていたと言われたのでこれは今日だなと」

ってか達ちゃんに聞かれて言ったよ私。

『休みどうするんだ?』
『特に。どこにも行かない』

そんな会話したよ。
頑張って隠したつもりでいた自分が恥ずかしい。

それにしても名推理だな。

「それで昨日名古屋にいましたので、謙太郎を帰らせて私はそのまま名古屋で茜の到着を待っていたわけです」

そのまま帰ればよかったのではないか?

「久しぶりにゆっくりと時間を気にせず会食が出来ましたので、気にしないでくださいね」

これは私は何を気にした事になっているんだ?
意味もなく名古屋泊をさせてしまった事なのか?

いや、それはそっちの勝手であって。
元々いつか海と2人でと予定していた伊勢旅行。
でも、なかなか行けなくて、海にも黙っていたのに。
本当に1人で行こうと思って計画を立てていたのに。

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