月とスッポン  一生に一度と言わず
一緒に宇治橋を渡り、おかげ横丁の入り口に立つ。
お昼前の時間帯に関わらず多くの人が行き来するおかげ横丁を突入する準備をする。

持ってきたベビーカーを体全体で拒否をする大我を諦め、抱き抱える。
抱っこ紐を持ってこればよかったと後悔すれば、
「りゅうくんもだっこ」と両手を広げる3歳児。

見かねた翔空が龍平を抱こうにも「ままがいい」と難題を押しつける。

私が抱いていた大我を翔空が抱き、龍平を抱き上げる。

これで出発出来るとベビーカーに荷物を入れ押し始めれば
「私が」と茜がベビーカーを押し始めた。

なんて気の利く人なんだ。

人混みを掻き分けながら歩く翔空と茜の後を追う。

「翔空がいなくなって、少し経った頃かな」

“いっぱいあってな”の話なのだろう。こんな人混みで話す事なのだろうか?とも思うが、これぐらい雑音が多い方が話しやすかったりするのだろう。

人に聞かれたくない話にはもってこいなのかもしれない。
どんな話をしているのか気にはなる。

でも、しきりに“海兄”と呼ばれたイケメンさんに話しかける龍平が、会話を遮断する。

「りゅうくんね、ぱぱとおなじだいくさんになるの」
「それでね うんとね」

一生懸命話す姿は愛らしいが、恥ずかしいと私の頭を壁にしつつ、イケメンさんに話かけているおかげで、翔空の会話が聞こえない。

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