月とスッポン  一生に一度と言わず
眉間に皺を寄せている翔空を見るだけで大事な話をしているのがわかる。
わかるから、落ち着きがなく動こうとする大我が気になってしまう。
私が大我を抱えた方がいい状況なのだろうが、龍平を抱えている今、無理なのは無理なので。
せめて大人しくしていて欲しい。

暴れ始めた大我を絶妙なバランスで肩車をする翔空。
それで機嫌が治り、また現状報告を続けている。

「たいちゃん、ずるい」

肩車をされた大我を見てぐずり始める。

いや、無理だから。私に登ろうとしないで。
辞めさせようと立ち止まる。

急に軽くなったかと思うと、イケメンさんが龍平を抱き上げ、肩に乗せた。

「肩車は初めてなので、しっかりと捕まっていてくださいね」

3歳児相手に丁寧な口調で話しかける。

「りゅうくん、よくかたぐるましてもらうから。だいじょうぶ」

会話が成立している。

いや、待って。大丈夫なんかじゃない!
見ただけでわかる高級な服に龍平の靴が!
整った手入れされた髪を鷲掴みしている。

ちょっと待って。

慌てる私をよそに2人は楽しそうだし、この光景を笑いながら茜が写真を撮っているし。

「あっち」
と龍平がイケメンさんを操縦し始めている。

どうすればいいか考えているうちに、目的地に到着する。肩車をしてもらっただけで、懐いてしまった龍平。

相変わらずチョロい。この子の将来が心配になる。

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