月とスッポン  一生に一度と言わず
「確かに、それはいっぱいあったな」
「言葉にするとすごいよね。でも、当時は目の前の事をこなすので大変だったとかは思わなかったなぁ。
とにかく時間もお金もなかったからね。
 
 で、落ち着いたから“好きにしてもいいよ!”って言われてもって感じでしょ。だから、1人で行っても変じゃなくて、目的っていうか「行ってきました」って言える神社とか回ってたらがっつりハマったって感じかなぁ」
「それはなんとなくわかる気がする。こっち来て1人になりたい時行きまくったわ」

雑談に突入したという事は、話が終わったようで。

「ここの素麺はなんでも美味いから」

と自慢する翔空の姿に微笑みを浮かべながら注文する。

待っている間、すっかり仲良しになったイケメンさんと龍平が

「おうどんもおいしいけど、おそうめんのほうがすき」
「たいちゃんもすきなの」

などイケメンさんに話しかけている。

「で、そっちは?」
「俺?俺もいっぱいあってな」
「へー」

「ってもっと俺に興味を持て!」
「『俺は一人前になるまで全てを断ち切る』と意気込んで旅立った翔空が、二児の父親になってるんだからいっぱいあったでしょ」
「相変わらず他人に興味がないな」

「そんな事はないとは思う」
「変わってなくて、安心なんだか心配なんだか」

ぼやく翔空に
「ちょっと意味がわからない」

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