月とスッポン  一生に一度と言わず
突如飛び出る電車の正式名称らしき名前に唖然としていれば、

「りゅう君が今度乗る約束している電車は?」
「しまかぜ」

突如発生する龍平のわがままにも慣れている様子の梨花が龍平と視線を合わせて話をする。

「今日、茜ちゃんと電車に乗ると、しまかぜに乗れなくなっちゃうよ。しまかぜに乗って大阪まで行って新幹線に乗って名古屋からビスタEXでお家に帰ってくるお約束なくなっちゃうよ」
「やだぁ」

「いやだよね。今から食べようって約束していたぜんざいも食べれなくなっちゃうよ」
「やぁだぁ」

「やだよね。だから、ここで茜ちゃんとバイバイしてママとぜんざい食べようね」
「やぁだぁ」

ぐずぐずと泣き始める龍平。

「いつもの事だから気にしないで」と梨花は言ってくれるが、バイバイしたくなくて泣くのはちょっと嬉しい。

が、湧いて出てきた私たちのせいで泣いていると思うと申し訳ない。

「やだ、やだ」と泣く龍平を、「ぜんざいを食べてパパを待っていよう」と慰める梨花に

「おもち、りゅうくんがたべる」
「特別に2個食べていいよ。でも、内緒ね」

「ないしょ」
と「イヤだ、イヤだ」とながらも頭の中がぜんざいになっている龍平にみんなが笑った。

今のうちにと車に乗り込み。

食べる時間を考慮して伊勢市駅まで送ってもらうことになった。

< 54 / 83 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop