月とスッポン  一生に一度と言わず
「本日はお招き頂き有難うございます。妻の梨花です」

ちゃんとした紹介をする翔空に倣うように、
「おめでとうございます」
と頭を下げつつ、部屋のお礼をする。

「これは丁寧に」と頭の上から声が聞こえる。

「翔空が大人になってる」
「海はもうちょっと落ち着け」

そんなやりとりがある中、大人達に気づいた子供たちがやってくる。

「だれ?」と不思議そうに問う龍平に、
海は視線を合わせてから「私は海って言います。パパのお友達だよ」と紹介をすれば
「この前会った海兄の妹だぞ」と翔空が捕捉する。

「うみあにのいもうとのうみちゃん」
「そうです。海ちゃんです」

かわいい!と声を漏らしながら、海が返事をする。

「可愛すぎる。よかったね、翔空に似なくて」
「茜と同じ事を言うな」
「えっ!あーちゃんと同じ事、言ったの!」

「そこ、喜ぶところじゃないから!」
「そういう茜は?」
「今、ママを迎えに行ってる」

2人が纏う空気が瞬間にして変わるのがわかる。
それでも、呼吸を整えて明るく振る舞う海の気丈さに感銘を受ける。

「なので、あと1時間ぐらいでこっちに着く予定なので、さっさと着替えて!
で、中庭に続く裏口辺りで待機して『久しぶり』とか言いながら、中に案内して。そのタイミングで人前式を行います」
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