月とスッポン  一生に一度と言わず
起き出した2人を連れて、会場へ向かえばすでに皆んなが集まって、用意された食事を食べながら、談笑をしていた。

「あかねちゃん」

茜を見つけた龍平が、一目に走っていく。
龍平に気づいた茜が座って、両手を広げ龍平を待ち構える。

「覚えていてくれたの?嬉しい」

別れた時よりも少しだけ影を纏った茜が龍平を抱きしている。

「お疲れ様です」

そう声を掛ければ、龍平と手を繋いだ茜が「梨花さんもお疲れ様です」と私のそばへとやってくる。

少ない参加者には似つかない多くの料理が並べられた。


『おめでとう』の日だから今日は特別だよ。

我が家の約束。
特別の日は好きなものだけ食べていい。
それを知っている龍平は一気に笑顔になり、茜を引っ張り料理へと向かっていく。

元々オープン前のプレオープンの意味合いも兼ねての海の結婚式と私達の招待だったようで、ひとまずの成功を祝して、スタッフ達も一緒になって楽しんでいる。

好きな物を食べながら、ちょっとしたゲームをして、景品を手に入れた龍平が私の元へと戻ってきた。

「ママ こうかんこ していい?」

< 73 / 83 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop