月とスッポン  一生に一度と言わず
惰眠な正月

いつもなら『激込み上等』で海と2人で行く年越しからの初詣なのだが。
1人だとどこも混んでいると思うだけでめんどくさいと思えてくる。

なので、絶対に出かけないと言う強い思いの表れだと普段は飲まないアルコールドリンクとスナック菓子、カップ麺などを大量に買い占め、籠城に備える。
 
自分へのご褒美だと奮発して手に入れたウールのラグの上に、100均で購入した少し大きめの持ち手のあるトレイの上に買ってきたモノを乗せ、ベッドにもたれかかる。

今日はここから動かない。
と意気込む。

今まで行った奈良・長野などの写真を整理しつつ、行った場所の名称をタグ付けして、行った場所をマップに記していく。
そこから派生して、行きそびれた場所も確認して、うたた寝をし、お菓子を食べ、ほぼジュースのアルコールを口にして気分が良くなる。
なんか自由だ!

途中、海から新年の挨拶に訪れた慶太郎の実家からの写真付きのメッセージが届く。
楽しそうで何よりなのだが、少しだけ寂しい。

アルコールを少しだけ口にして、テンション高めの返事をしてまたアルコールを口にする。
自由は寂しい。1人は寂しい。

買ってきたスナック菓子をつまみながら、アルコールを口にしてしまった事を後悔する。
飲んでなかったら、どこかへ行けたのに。

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