月とスッポン  一生に一度と言わず
山の方を指し
「《この奥には高倉山古墳があります。
古墳時代後期の6世紀後半から6世紀中葉頃に築造と推定され、7世紀初頭頃までの追葬が認められています。
 被葬者は明らかになっていませんが、古くからその規模と立地の特異性から伊勢神宮外宮の創祀・変遷と関連付ける説があり、外宮奉斎氏族の度会氏ではないかと言うのが有力だそうです。
ですが、それほど立派な横穴式石室を持つ古墳があることを伊勢神宮は神域として立ち入りを禁止し、詳しい公表していません》」
「ほー」

思わず乗っていた亀石から降りる。

「詳しくわからない事は様々な憶測を呼びます」
「憶測とは?」

「《伊勢神宮が祀っているには天照大神です。天照大神は太陽神であり、皇室の祖神であります。
伊勢神宮が整備されたのは天武天皇や持統天皇のころとされ、天武天皇は飛鳥時代、40代目の天皇です。
それ以前は、各地で土地に密着したローカルな太陽信仰があり、もちろんこの伊勢も例外ではありません。人が集まれば、始まる信仰対象は太陽です。それは日本に限った話ではなく、人類全てが太陽信仰から始まっています。
そんな時代に、こんな巨大な石室を作らせた人物何者だったのでしょう。そもそも石棺も見当たらない石室は、本当に古墳だったのでしょうか。
調査では金環・玉類・馬具・大刀・刀子・鏃・須恵器・土師器などが検出されていますが、墳丘表面で葺石・埴輪は認められていません》」
「ミステリーですね」
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