月とスッポン  一生に一度と言わず
「ミステリーです。《古墳の築造様式を使った、天の岩戸神話にかかわる人工的な祭祀洞窟だったのではないかとも言われています。
もしそれが本当ならばですが、鎮魂祭や新嘗祭などが高度に宮廷儀式化される前、高倉山古墳の前において、儀式として再現されていた可能性があると思うのです。
そして、このその神聖なる高倉山古墳の石室の一部が、外宮神域の小川にかかる橋として利用されている事になります。人びとが踏んで歩くという、大変失礼なことになっています。聖域にあったものなら、こんなことはあり得ないと思います。
もし本当に古墳だったのなら、蘇我馬子のお墓だとされている奈良の石舞台古墳のように腹を立てていた人たちが後世、掘り出したためだという懲罰説が思い浮かびます》」

「戒めってやつですか?」
「《上塗りとも言いますね。元々根付いていたモノを無くすと、不満が溜まりそれが崩壊の一石になる事はよくあります。なので、行事を行事で重ねてしまうのです。
行う事は同じですが、目的を変えて行います。そうすれば、下の者がやりたい事を行なっているので不満はありません。やっている当事者に本来の目的はどうでもよかったりするのです》」
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