「君を絶対愛さない」と言ったクールな警視正に滾る愛を刻まれました
「美月ちゃんに聞いてみてよ」

 断れない性格だし、頑張ってもてなそうとするのが想像できる。

「やめておこう。もう風呂に入った後かもしれない」

「いいじゃん! 湯上り美人!」

 ダメだ、相当酔っている。いつもの矢沢ならここまで言えば空気を読んで引いてくれる。普段から陽気な人間なのであまり変化がないように見えていただけだったか。

 さっきから大きな声を出している自覚もないのだろう。こっちは周りの視線が矢のように刺さって痛い。

「分かった。聞いてみる」

 仕方なく美月に連絡を入れると案の定、二つ返事だった。

「よっしゃ!」

 ガッツポーズする矢沢を尻目にこっちは盛大な溜め息を吐いた。

 マンションの近くにあるコンビニエンスストアでアルコール飲料をたくさん買い込み自宅へ戻ると、朝出掛ける時に見たままの姿の美月がいた。

 よかった。まだシャワーを浴びていなかった。美月の愛らしい素顔とパジャマ姿を矢沢の目に映すのはさすがに嫌だからな。
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