「君を絶対愛さない」と言ったクールな警視正に滾る愛を刻まれました
「美月は怒ったり、拗ねたり、そういうのはなかったよな。俺は美月みたいな子の方が合っているって気づいたんだ」

 そこで区切って、陽平は私を注視した。瞳に悲しそうな色を滲ませているのが分かって、心がさーっと冷えていく。

 これは最後まで聞くべきではない。陽平に背中を向けて歩きだす。

「双葉と別れて、美月とやり直したい」

 手首を掴まれ引き留められた。

 やめてほしい。これ以上、陽平のこと嫌いになりたくないのに。

 陽平の手を振りほどいて、きつく睨み上げる。

「私だって怒るよ。……内村さんを選んだのは、子どもがほしかったからじゃないの? 私は産めないかもしれないし」

 陽平に分かってもらうためとはいえ、自分の言葉が刃となって心臓をえぐる。

「子どものことは、今は置いておこう」

 なにそれ……。ここまで自分勝手な人だったなんて知りたくなかった。

 結果的に酷い別れ方をしたけれど、汚いものに蓋をするような真似はせず、幸せだった思い出も、辛い経験も全部受け止めて、自己成長に繋げようと思っていたのに。
< 201 / 222 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop