「君を絶対愛さない」と言ったクールな警視正に滾る愛を刻まれました
「おまえがやっている付きまといは、ストーカー規制法が禁止する行為にあたる。もしまた美月の前に現れたら、犯罪者とみなす」

「え……あの、誰?」

 陽平は目を皿のように大きくした。

 どうしよう。事実を伝えたとして後日変な噂を立てられそう。

「答える必要がない」

 躊躇した私とは打って変わって巧さんは淡々と言い放った。

「そうだな、警察官ということは、教えてやる」

 巧さんが胸ポケットから出した警察手帳は私も初めて目にする。

 カッコいい、と思わず声を出しそうになって唾をごくんと飲み込む。

「早戸巧って、荷物送ってきた時の……」

 そういえば巧さんの名前を借りたんだっけ。あの時も今も、これまでの様々な出来事も、巧さんはいつも判断力があってすぐに対応してきた。

 私は突然のことにパニックに陥りやすいから、こういう面が頼もしくて素敵だと感じている。

「おとなしくしておいた方が身のためだ。これ以上問題を起こしたら、今度は会社にいられなくなる」

 地を這うような声に陽平は身じろぎしたが動き出さない。渋っているというよりかは、どうしたらいいか分からないといった様子だ。
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