「君を絶対愛さない」と言ったクールな警視正に滾る愛を刻まれました
 食べ始めても巧さんはいつも以上に口数が少なく心配になる。

 巧さんは自身の問題をあまり家に持ち込まない人だ。だからはっきりと分かりやすく雰囲気が違うのは珍しい。

 父の話をしたかったけれど今はそっとしておこう。聞かれたら答えればいい。

 今日は洗いものが少なく、食べきれなかったお惣菜はタッパーに詰めて冷蔵庫にしまうだけでいいので楽だ。

 巧さんに先にお風呂に入って休んでもらおうと、お湯張りボタンを押したら背後から伸びてきた手が取り消した。

「ん?」と振り返ると、真剣な表情とぶつかって胸がざわついた。どう表現したらいいのか分からないけれど不穏な空気を醸し出している。

「話がある」

 温度がない声音に胸がざわついた。速くなった拍動に押し負けないように、意識的に浅く呼吸をする。
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