「君を絶対愛さない」と言ったクールな警視正に滾る愛を刻まれました
「持病は関係ないです」

「だったらどうして? 美月は子どもがほしいんだよな? もちろんタイミングは考えた方がいいのかもしれないけど、こっちで避妊はしているし、そこまで徹底しなくてもいいんじゃないか」

 斜め上の発言に、これから自分が話そうとしていた内容が吹っ飛んだ。

 え? それは子どもができてもいいと捉えられるけれど。

「率直に答えますね」

 巧さんは重々しく頷いた。

「巧さんが、子どもが苦手だと聞いたんです。妊娠を望んでいるのか確認するまでは、可能性を限りなくゼロにしようとしたんです」

「……確かに、そういう話を矢沢にした」

 察しがいい巧さんは情報源がどこかすぐに分かったらしい。

「それから、さっきお父さんから聞きました。巧さんがもう二度と大切な人を失いたくない、家族を作るのが怖い、と話していたと。本音を聞かせてもらえませんか?」

 巧さんの表情が曇る。眉間に皺を寄せて考え込むように視線を落とした。

「……美月と出会うまではそうだった。でも今は違う。俺たちの子どもへは、大切にしたいという感情以外ない」

 表情とは裏腹に、口にする言葉はとても優しかった。

 覚悟を決めたけれど、不安や恐怖はあたり前に付きまとうってことなのかもしれない。
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