「君を絶対愛さない」と言ったクールな警視正に滾る愛を刻まれました
 よくない状況に焦りを感じていた矢先、三十九度の熱が出てしまった。

 夜中に寝苦しさで目が覚め、汗でびっしょりになったルームウエアを新しいものに着替える。薬はなかったので、念のためにネットスーパ―で注文をしておいた。これで昼過ぎには届く。

 朝一で部長にメールが届くよう送信予約をして、トイレに行ってから休もうと用を足して出ると、寝室から巧さんが出てきた。

「うるさくしてすみません」

 薬があるかどうかリビングで探したり、トイレの水の流れる物音で起こしたに違いない。

「いや、俺もトイレに行きたくて」

 体調が優れないと今伝えるべきか迷っていると、巧さんは私の横で立ち止まって顔を覗き込んできた。

「どうかしたか?」

「あ、えっと」

 喉が痛いとかはなく声は普通に出せる。鼻水やくしゃみもないし、ただの風邪ではなさそうだ。

「熱があって」

「何度?」

「三十九度です」

 真顔になった巧さんは手を伸ばし、私の額に触れた。心臓がドクンッと大きく弾んで息がしづらくなる。巧さんが手をどかしても一度強まった拍動は治まらない。
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