結婚したくない二人の話~完璧イケオジエリートは、実は独占欲強めなケダモノでした~

 一人で出かけるときは、誰にも行き先を言わないし、土産など買わない。
 だが、今回は槙木に箱根土産を買って帰った。
 出勤してすぐ、調査企画課を訪ねる。
 憂鬱な月曜の朝にも関わらず、槙木は嫌みなくらいに爽やかだった。

「奥さんと綾ちゃんに」
「サンキュー! こんな気を遣わなくていいのに。大丈夫だったか?」
「なにが?」
「寝室別にして、ちゃんと耐えたんだろ?」

 答える義務はないので無視した。
 数秒待っても僕が答えないから、槙木の顔色が変わっていく。

「ま、待てよ、おい! お前、まさか……許さんぞ! オレが許さねえ!」

 なぜか槙木は、彼女を娘のように思っているらしい。おそらく愛娘の綾ちゃんが、彼女を姉のように慕っているからだろう。
 付き合うように煽った張本人のくせに、この態度はなんだ。
 妙な理解を示されても嫌だが、騒がれるのも困る。だから、短めに答えた。

「同意の上なので」
「当たり前だ!!!!!!!!!」

 声が大きい。
 同課の職員が、「朝から課長同士で何を騒いでるんですか」と興味を持ち始めたので、僕は急いで逃げ出した。
< 114 / 264 >

この作品をシェア

pagetop