結婚したくない二人の話~完璧イケオジエリートは、実は独占欲強めなケダモノでした~
恥ずかしいから、八木沢さんがいそうな時間帯はあえて避けていたのに、火曜日の夜にゴミを出そうとして、帰宅した彼にばったり出会ってしまった。
仕事帰りで疲れているはずなのに、私を見たらふんわり笑ってくれて、嬉しくて動揺した。
「あっ、あ、お、お」
お疲れ様です、と言えなくて、オットセイみたいになった私は、彼が口を開く前に「忘れ物しました!」と叫んで部屋に戻った。
会えて嬉しい、今日も格好良かった、腰の位置高い足長いなどと若干混乱しつつ、玄関にうずくまって悶えた。
私の様子が変だったからか、八木沢さんから体調を心配する連絡が来て、ついでに土曜日に出かけないかと誘われたが、診察の予約を入れていたので断った。意図的に、ではない。偶然。
水曜日のお昼休みに自分のデスクに突っ伏して唸っていると、心配した永遠子が話しかけてきたので、これ幸いとビル内にある共有のカフェスペースへ連れて行って相談した。
「はぁ? 顔を見るのが恥ずかしい? 付き合ってるんですよね?」
「……はい」
「そんな小学生みたいなことで悩んでいたとは」
「好き過ぎて、どうしていいか分からない」
「なかなかすごい状況。おもしろ……いえ、幸せな悩みですよ。そういう時は、素直に言った方がいいです。ストレートに伝えないと誤解されますよ」