結婚したくない二人の話~完璧イケオジエリートは、実は独占欲強めなケダモノでした~
座って、下を向いて髪を洗ってもらっていたら眠くなってくる。そのまま背中も洗ってもらい、思わずため息をついたら、「だから、そんな声を出さないで……無自覚ですか?」と質問されたので振り返って答えた。
「だって……気持ちいいんです……」
「だめだ。生殺しに耐えられない」
八木沢さんが前髪をかきあげ、紅潮した顔で私を見下ろしていた。彼が着ているシャツが、濡れてはりついて色っぽい。
あ、生殺しってそういう意味か、と理解したときにはもう遅くて、抱き寄せられて口付けられていた。
浴室内の温度と湿度に、いつもより早く息があがって鼓動も早くなる。舌を絡めていると、体に掛けていたタオルが足下に落ちた。
首にキスされて、触れられた場所から全身に熱が広がっていく。反響している喘ぎ声は、自分の声じゃないみたい。逃げようと体をずらしたけれど、八木沢さんは全然とまってくれない。
「はぁ……八木沢……さん、抱いて、ください」
「風呂なんかどうでもいいから、最初からベッドに連れて行けばよかった」
八木沢さんが浴室のドアを開けると、冷たい空気が流れ込んで、のぼせそうだった体が少し冷えていく。自分でやろうとしたけど、「いいから任せてください」と言われ、バスタオルでごしごし拭かれた。髪も乾かしてもらって至れり尽くせり。
彼の服も濡れていたから、全部洗面所の床に脱ぎ捨てていた。
「お、お待たせしてごめんなさい」
「いいです。段取り間違えた自分が悪い」
八木沢さんの視線は、情欲で獣みたいになっている。彼がこんなに焦っているのを見るのは初めて。抱き上げられて、(もしかして、ずっとお姫様抱っこで移動してたの?)とびっくりした。