結婚したくない二人の話~完璧イケオジエリートは、実は独占欲強めなケダモノでした~

 他にも、私がよく好んで使っていた食器ばかりがリストから外されてしまった。売れなくなってしまうのなら、使わなかったのに。

「……すみません、私が使用して、価値が下がったからですか?」
「違います。愛着がわいたからですよ」
「わあ、そうですか。それは私も嬉しいです。私にお金があったら自分が買い取りたいと思ってましたから!」

 手元に置いておきたいと思ったのなら、売る必要は全然ない。お金に困っているわけでも、どうしても売ってくれと頼まれたわけでもないのだから。
 そもそも、八木沢さんが骨董品を手放そうと決断したのは、「物の価値がわからない自分が持っているより、愛好家の手に渡った方が、骨董品たちも幸せなんじゃないか」と思ったから。

 骨董品と一口に言っても、掛け軸や絵画、陶器や茶道具など、ジャンルは多岐にわたる。
 おじい様が蒐集した物も様々だったので、それぞれ専門の異なる三人の骨董品鑑定士がやってきた。
 店主は先代のお孫さんだそうで、思っていたよりも若くて驚いた。でも学芸員の資格を持ち、博物館に勤めていたこともあると聞いて、素直に「凄いな」と思った。
 数が多いので時間がかかると思っていたが、鑑定から商談まで、私の予想よりも円滑に進んだ。一度鑑定してあるものばかりだし、先代からの信頼関係もあるのだろう。


< 154 / 264 >

この作品をシェア

pagetop