結婚したくない二人の話~完璧イケオジエリートは、実は独占欲強めなケダモノでした~

 商談のため場所を十五階へ移し、私がお茶の準備をする。午前中、リストから外した茶器を使っていたら、鑑定士さんの一人が「これも良い物ですね。売って欲しいくらいです」と言っていたので、わかる人にはすぐわかるんだなあと感嘆した。
 商談は聞かない方がいいだろうと思ったので、八木沢さんに断って席を外した。

 管理は大変だったけど、滅多にお目にかかれないような美しいものに触れられて楽しかった。同居している骨董品がなくなるのは、やっぱり少し寂しい。そんな感傷に浸っていたら、もう商談がまとまったと連絡がきたので、再び十五階へあがった。
 相続から十年以上経っており、現在の市場の動向などで多少価格は変動しているものの、極端に価値が下がった物や上がった物はないらしい。予定通り、売却されることになったそうだ。

「ただ、量が多いこともあって、半分にわけて売却することになりました。残りは年が明けてからです」
「そうなんですか?」

 その方が節税にもなるそうだ。今日でもう全部なくなるんだと思っていたので、嬉しくてついニコニコと笑ってしまった。

「だから、和咲さんには、もうしばらく管理をお願いしますね」
「わかりました!」

 嬉しい! 来年までは一緒にいられる理由ができた!


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