結婚したくない二人の話~完璧イケオジエリートは、実は独占欲強めなケダモノでした~
帰宅して、冷蔵庫に食材を入れていたら、八木沢さんが「留守番してもらえますか?」と聞いてきた。
「なにか買い忘れました?」
「洗車するのを忘れてました。ワックスもかけていいですか? 混んでいたら時間かかるかもしれませんが……」
「じゃあ、私は夕飯の下拵えしてますね」
それに今朝、二度寝できなかったからお昼寝もしよう!
八木沢さんが朝からずっとご機嫌なので、「お休み嬉しいですね」と言ったら、コートを着ながら彼が答えた。
「最近、和咲さんは他のことに夢中で、僕は構ってもらえませんでしたから。一緒にいられて嬉しいんですよ。じゃあ、車を磨いてきます」
「いってらっしゃい! ピカピカにして来てください!」
玄関で見送るのは初めてで、「いってらっしゃい」という単純な挨拶になんだか胸がドキドキした。
今度、合鍵を……使ってみてもいいのかな……?
下拵えも一段落して、デザートも作ろうと食材を確認していたらインターホンが鳴った。
意外と早かったな、ガソリンスタンド空いていたのかな。そう思って画面を見た瞬間、息が止まった。
そこに映っていたのは八木沢さんではなく長い黒髪の女性だった。