結婚したくない二人の話~完璧イケオジエリートは、実は独占欲強めなケダモノでした~
手頃な物件を見つけた日、私は勇気を出して連絡をとった。呼び出しのコールが鳴ると怖くて切りたくなった。出ないで欲しいと思っていたけれど、数コールで彼女の楽しそうな声が聞こえた。
『連絡くれると思ってた! ありがとう!』
「……聞きたいことがあるんです」
『なんだろ。私もあるから、良かったら直接話さない?』
正直会いたくはない。電話で聞くつもりだったから、しばらく悩んだが、逃げてばかりなのもいやだなと思い、承知することにした。
桂先生は、土曜日のランチタイムなら時間があるらしい。診察はお休みなのかと問うと、彼女は『アルバイトだから、毎日入ってるわけじゃないの』と答えた。
六本木にあるホテルのロビーを指示されて、こちらが萎縮しそうな場所をわざと選んでいる気がした。
彼女の目論見通り、そんな場所には近づいたこともないから、行く前から怖じ気づきそう。
約束の日。初めて行く場所だから、早めに家を出たけれど、ホテルが商業施設と繋がっているようで、広くてよくわからなかった。天井も高くて、ここがロビー階で合っているのかも不安になってくる。誰かに聞こうかとあたりを見回して、ラウンジにいる桂先生を見つけた。