結婚したくない二人の話~完璧イケオジエリートは、実は独占欲強めなケダモノでした~

 勝手に踏み込んできて、支配しようとしている。
 八木沢さんにも言ってないことをこの人が知っているのが不快だった。
 お料理を作ってくれた方には申し訳ないけど、耐えられなくて席を立った。
 私が帰ると察して、彼女が語気を強めた。

「あなた若いし、他にいくらでも男いるでしょ? 東梧は返して」
「八木沢さんは物じゃないです!」

 誰でもいいわけない! 八木沢さんだから一緒にいたい! 彼じゃないと意味が無い!
 そう叫びたかった。

 走り出したいのを堪えて、歩いてお店を出た。自分がどっちから来たのかも分からなかった。どうでもいいからここから逃げたい。早く逃げたい。

 八木沢さんじゃないと意味が無い。この人生に意味が無い。

 でも、この想いを、八木沢さんも同じように抱いていたら?
 雅姫じゃないと意味が無い、と。
 
 私は八木沢さんの幸せを望んでいる。
 何かを諦めるのではなく、心から幸せそうにしている彼を見たい。
 でも、私じゃない誰かに笑いかけるのは見たくないんだ。


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