結婚したくない二人の話~完璧イケオジエリートは、実は独占欲強めなケダモノでした~
あなたにずっと言えなかったこと
表面上はいつも通り、これまでと変わらない毎日を過ごしていた。
でも私は派遣の仕事を辞めて、お世話になっている工房のお手伝いとして働くことを決めていた。
以前から、工房の先生に「もし、もっと学ぶ気があるのなら、工房のスタッフとして雇っていい」と言われていた。
先生は四十代の女性作家。旦那さんは大手のデザイン事務所に勤めていて、お子さん二人はまだ小学生。昼間に開催している一般向けの陶芸教室は、段々受講者数が増えていたから、人手が欲しかったらしい。
いつも「今は絵付けも印刷が主流だから、手描きでやりたいって、興味を持ってくれるだけで嬉しい!」と言っている。若い人が減っているから、なおさらそう思うそうだ。
提示されたお給料は今と比べるとかなり減るので、アルバイトを掛け持ちしないと生活できそうにないが、将来への不安よりも解放感のほうが大きかった。
私も好きなことをしていいんだ。時間を忘れるほど夢中になることをしていいんだ、と。
もっと思い通りの線が描けるようになりたい。
更新時期が来るよりも早く会社を辞めることは、直属の上司と永遠子にだけ伝えた。