結婚したくない二人の話~完璧イケオジエリートは、実は独占欲強めなケダモノでした~
床に座ってぼんやりしていたようで、ふと気づくともう夕刻だった。なぜか夕飯を作ろうと思った。でも、冷蔵庫を開いても、なにも思い浮かばない。頭に入っているはずのレシピが出てこないから、お料理の本を取り出した。でも、工程が理解できない。
料理するのは諦めて、お風呂に入る。湯に浸かっていると少しずつ、現実が見えてきた。
終わった。
私はもう、あの優しい手に触れてもらうことはできない。
優しい声で名前を呼んでもらうこともできない。
また涙がいっぱい出てきて、息ができなくなる。
引越しは月末の予定だ。それまではここにいてもいいのだけど、とりあえず、明日はどこかへ行こう。
陶器を作る土と、絵付けに使用する絵の具は、同じ土地の物でないと綺麗に焼けないそうだ。土が違うと、焼成したときに割れてしまうことがある。だから、焼き物はその土地に根付いて発展してきた。
私もそんなふうに生きてみたかったな。私は結局、ずっと居場所が見つからない。
色鮮やかな絵付けが人気の九谷、有田、それに波佐見、瀬戸……行きたい場所はたくさんある。見たいものもたくさんある。飛行機は乗ったことなくて怖いから、新幹線かな。