結婚したくない二人の話~完璧イケオジエリートは、実は独占欲強めなケダモノでした~

 八木沢さんの惚けたような顔を可愛いと思った。乱れた前髪をかきあげて、荒くなった息を整えようとしているのも可愛い。私が見つめていることに気づいて、照れたように笑うのも可愛い。ずっとこのままでいたい。
 だから、体を離されると寂しくなった。せめて上体を起こそうとして、八木沢さんの腕に掴まろうとしたら、なぜかソファの座面にうつ伏せにされた。力が入らなくて、膝を立てることもできない。
 動けない私に覆い被さってくるから、お互いの熱で体が蕩けていくみたい。

「……? あの、待って……!」
「すみません、治まらない」
「ぁ……んっ……!」

 蕩けきっている私は、押し入ってくる彼を簡単に受け入れていた。
 体が密着して背中に感じる体温が気持ち良かった。でも呼吸は苦しいまま。
 浅く息を繰り返していると、八木沢さんがソファの端にあったクッションを引き寄せてくれた。抱えたら、少し楽になった気がした。

「ありがとうございます。あの、でも、それより休ませて……やぁ……んっ、背中だめ!」

 心臓も呼吸も速いから本当は休ませてほしい。
 でも、ぎゅっと抱きしめられて、背中や首にキスされたらまた体が反応する。

「もう二度と、僕から離れないでくださいね」
「ん……離れない……約束する、から、あっ……あぁ」

 後ろから包み込むみたいに愛撫されて、背がのけ反りそうになる。でも押さえ込まれているから、自分から彼に体を擦り付けて甘えるみたいになってしまった。

「和咲、愛してる」
「……ぁ……わたしも……愛してる……」

 名前を呼ぶ声が優しくて、胸が苦しいほど切なくなった。
 他の誰でもなく、私だけを求めてくれるのがこんなに幸せだなんて知らなかった。

 過ぎる快感に怖くなって腕を伸ばしたら、彼が自分の手を重ねて、指を絡めてくる。逃がしてもらえないから、さらに深くなる衝撃の全てを受け入れた。
 いきそう、と声に出す前に体の奥で何かが爆ぜて、全身が震えて腰がしなる。
 動きをとめた八木沢さんの荒い吐息が耳に掛かって、その熱さえ気持ち良かった。




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