結婚したくない二人の話~完璧イケオジエリートは、実は独占欲強めなケダモノでした~
「これって、結婚式で指輪交換して、初めて着けるんですよね?」
「そうですね。もっと早く指輪をしたいのですが……仕方ないですね」
「大丈夫ですよ。どうせ作業中は外しますし」
陶芸は土や薬品を使うから手が汚れてしまうし、陶器に固いものが当たると傷がつくから、作業中はアクセサリーを着けない。だからそう言ったのに、東梧さんはかなり不満そうだった。
「独身だと勘違いして、言い寄られるかもしれません」
「あ、そうですよね。東梧さん、やっぱりモテますよね」
「違います。和咲さんが! です!」
そんなバカップル丸出しのやり取りをしていたら、接客してくれていた店員さんが、小さなダイヤモンドのついた指輪を提案してくれた。
「もうご入籍されているとのことですが、結婚式までの婚約指輪ということで、こちらを奥様に贈られてはいかがですか?」
勧められるままに試着してみたら、思っていたより目立たなくて私の好みにぴったりだった。その控えめなダイヤモンドが光を反射して、指輪だけでなく、私の手全部がキラキラしている気がした。
「わあ、素敵……デザインも可愛い!」
「気に入ったのなら買いましょうか?」
「欲しい、ですけど……本当にいいんですか?」
「気が利かなくて、すみません。もっと早く贈るべきでした」