結婚したくない二人の話~完璧イケオジエリートは、実は独占欲強めなケダモノでした~

 見せてもらえてよかった。
 胸がいっぱいで涙がとまらず、東梧さんを困らせてしまった。落ち着くまでぎゅっと抱きしめてもらっていると、「幸せそうで何より」となぜか樋口さんが照れていた。

「この家族写真が目にとまって依頼が増えた。おかげさまで賞も獲ったし、写真家としてなんとか独立できたから、いつかその報告がしたいと思っていたんだ」
「ありがとうございます。私、全然写真も持ってなくて……」
「……お葬式の時、向こうのご両親の様子は僕も見てたからね。きっと大変だっただろうなと思うよ。和咲ちゃんは元気かな、一緒に遊んでくれる友達できたかな、泣いてないかな、って、ずっと心配だった」

 血のつながりは無いのに、親戚よりも私のことを想ってくれていたのかな。
 私が好きだった家族は、もう誰もこの世にはいないから、私の小さい頃を知っていて、成長を喜んでくれる人に会えたのが、なにより嬉しかった。

「ご両親は、君の成長を側で見守りたかったと思う。代わりにはなれっこないけれど、もし良かったら、僕に君の結婚式の写真も撮らせてほしい。どうかな?」
「それはとっても嬉しいです!」

 東梧さんも賛成してくれたので、さっそくプランナーさんに相談すると「こちらからお願いしても、ブライダルフォトの依頼は滅多に受けない方です! こんなチャンスないです! 是非!」と興奮していた。


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