結婚したくない二人の話~完璧イケオジエリートは、実は独占欲強めなケダモノでした~

 前夜から降っていた雨は、夜が明ける頃には止んでいた。
 梅雨の時期なので、お天気だけが心配だったが、なんとかゲストに迷惑をかけずにすみそうだ。
 支度開始の時間が早いから、挙式するホテルに前泊している。とても良いお部屋を準備してもらったので、広くて快適で、寝心地も抜群に良かったが、気持ちが落ち着かないのか予定よりも早く目が覚めてしまった。
 私を「寝不足の花嫁にしたくない」という理由で、東梧さんは一緒に泊まらず、結婚式前夜を私は一人で過ごした。
 久しぶりに家事も何もせず、一人で贅沢にゆっくり過ごしたが、一晩離れただけでもう寂しい。早く東梧さんに会いたい。こんなに会いたいって思うなんて、付き合い始めの頃みたい。



 着付けもメイクもお任せなので、私は指示に従って立ったり座ったりするだけだが、ようやく準備が終わる頃には時間も押し迫っていて、お腹も空いてくたびれていた。少しぼんやりして熱っぽい気がする。

 新郎が会場に到着したと聞いてからずっとそわそわして、「東梧さんに会いたいな、早く顔が見たい」と、そればかり考えていた。
 だから、介添人のお姉さんから、「少しお時間よろしいでしょうか? 新郎様が新婦様に会いに来られますよ。お支度は大丈夫ですか?」と言われて、「大丈夫です! 私も早く会いたいです!」と前のめりで即答した。

 ファーストミートは写真に収めたいと言われていたので、樋口さんが先に控え室に入ってきた。
 東梧さんが来るのをスタッフ一同で待つ。
 スタッフさん達はきっと、自分たちが時間を掛けて支度したウェディングドレス姿の新婦を見た新郎の様子が楽しみなのだろう。
 でも私は、とにかく早く東梧さんに会いたかった。

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