失くしたあなたの物語、ここにあります
「だったら、ローズヒップとザクロのソーダ割りはどう? お昼まだなら、サンドイッチもあるよ」
サンドイッチはあいかわらずのまかないだろう。時々彼は、クオリティーの高いまかないを沙代子にごちそうしてくれる。
「うん。天草さんにおまかせする」
「わかった。ちょっと待ってて」
そう言うと、天草さんはキッチンへ入っていく。すぐに沙代子は悠馬に視線を移す。彼は本棚をじっと見つめている。
「探してる本、ある?」
沙代子はそう尋ねた。
まろう堂にある本たちは誰かを待ってる。そのうわさ話を、沙代子はわりと真面目に信じていた。だからこそ、悠馬をここへ連れてきた。
「ない。ずっと見てるけど、たぶんない」
悠馬の欲する本が必ずあると信じていただけに、沙代子は驚いた。
「ないの? タイトルがわかってるなら、天草さんに探してもらえるよ」
「……探してもらおうと思ったけど、ないならそれでもいいから」
まるで、縁のないものをわざわざ見つける必要はないと思ってるようだ。
「でも、見つけたいんだよね?」
だから、彼は沙代子に告白したんじゃないのか。探してる本があると。
黙り込む悠馬を見守っていると、天草さんがキッチンから顔を出す。
「はい。ローストビーフのサンドイッチに、悠馬くんはミントのソーダ、葵さんはローズヒップのソーダ。ゆっくり食べていって」
「ありがとう。悠馬、すごく美味しそう。いただきましょう?」
サンドイッチはあいかわらずのまかないだろう。時々彼は、クオリティーの高いまかないを沙代子にごちそうしてくれる。
「うん。天草さんにおまかせする」
「わかった。ちょっと待ってて」
そう言うと、天草さんはキッチンへ入っていく。すぐに沙代子は悠馬に視線を移す。彼は本棚をじっと見つめている。
「探してる本、ある?」
沙代子はそう尋ねた。
まろう堂にある本たちは誰かを待ってる。そのうわさ話を、沙代子はわりと真面目に信じていた。だからこそ、悠馬をここへ連れてきた。
「ない。ずっと見てるけど、たぶんない」
悠馬の欲する本が必ずあると信じていただけに、沙代子は驚いた。
「ないの? タイトルがわかってるなら、天草さんに探してもらえるよ」
「……探してもらおうと思ったけど、ないならそれでもいいから」
まるで、縁のないものをわざわざ見つける必要はないと思ってるようだ。
「でも、見つけたいんだよね?」
だから、彼は沙代子に告白したんじゃないのか。探してる本があると。
黙り込む悠馬を見守っていると、天草さんがキッチンから顔を出す。
「はい。ローストビーフのサンドイッチに、悠馬くんはミントのソーダ、葵さんはローズヒップのソーダ。ゆっくり食べていって」
「ありがとう。悠馬、すごく美味しそう。いただきましょう?」