私と先生の秘密の時間
先生が生物準備室にいるといつものように藤本さんが来たらしい。


「ねぇ先生、私のこと少しは好きになった?」


「なりませんよ。私が好きなのは雪乃です。」


「全然先輩会いにこないじゃない。本当に好きだったら私がいたって来ると思うよ。だって私は先輩がいたってこうして会いに来てるし。そのくらい先生のことが好きなんだから。」


「雪乃は私のことを思って来ないんですよ。そんな風にできる雪乃だから大切で好きなんです。」


「何それ。そんなの先生が勝手にそう思ってるだけじゃないの?実際はどう思ってるかなんてわからないじゃない。」


そう言って部屋から出ていった。
その時私は図書室で勉強をしていてそんなやりとりがあったことは知らなかった。
だから突然藤本さんが来てびっくりした。


「先輩、お話があります。この間の教室に来て下さい。」


何だかイラついているような言い方だった。
一度来たきりずっと来なかったので油断していた。
きっと先生のことだと思ったので行くことにした。
先生のことで逃げたり適当な言い訳はしたくなかったし、藤本さんが真剣ならなら私も真剣に向き合わなければいけないと思ったから。


「片瀬先生のことですよね?何ですか?」


「いつになったら別れてくれるんですか?私本気ですよ。私がいるからって先生に会いに来ない先輩よりずっと私の方が先生を想う気持ちが大きいから私は行動できるんです。先輩の気持ちはその程度なんですよ。私には勝てない。」


藤本さんは私が先生に会いに来ないことが先生を想う気持ちがその程度なのだと言いたいみたい。


「私が先生に会いに行かなかったのは、私まで押しかけたら先生が困ってしまうからですよ。私は先生を困らせたくないし、たとえ会えなくても先生の気持ちを信じているから不安になることもないですから。私の先生を想う気持ちは先生を大切にしたいという気持ちです。大きいとか小さいとかそういうもので測れないものです。」


「先輩も先生も何?のんなのよ!」


そう言って藤本さんは教室を出ていった。
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