《連載中》波乱の黒騎士は我がまま聖女を甘く蕩かす〜やり直しの求愛は拒否します!
「っ……平気よ、いつもの事だもの」
「駄目だ、安静にしておけ」
「ねぇ、今、何時なの……? 安静になんて、してる暇は無いの……っ」
思わず口を突いて出た言葉を後悔する。
何しろ自分はおサボりの我がまま聖女。安静にしていられない理由をレオヴァルトに勘繰られても面倒だ。
──もう何日も《《みんな》》のところに行けてないんだもの。
『月夜の女神』を待つ貧民街の人々の顔が浮かんだ。
悪化した流行病を治癒した老人や子供の怪我の経過も気になる。新たに流行り病にかかった人たちや怪我人が治療を待ちわびているかもしれない。
「貧民街の病人が心配なのか?」
唐突にレオヴァルトが発した言葉が何を意味するのか、すぐにはわからなかった。
優しさを孕んだ黄金の瞳が穏やかにユフィリアを見下ろしている。
「え……」
「《月夜の女神》は、ユフィリア……君だろう」
治っているはずの背中が、ずくりと痛んだ。