《連載中》波乱の黒騎士は我がまま聖女を甘く蕩かす〜やり直しの求愛は拒否します!

 胸の奥底から得体の知れない、けれど心地よい胸苦しさが込み上げてきて思わず眉を顰める。もしや「キュンときた」とはこういう胸苦しさを示す言葉ではと……この時、生まれて初めて知ったような気がした。

 初めての「キュン」を慈しみながらレオヴァルトは続ける。もちろん表情《かお》は平静を装ったままだ。

「数々の目撃証言から『月夜の女神』は中央大聖堂の聖女だと噂がある。もし筆頭聖女のイザベラだとすれば矛盾が生じる。まずイザベラの背後にいるレイモンドが許すはずがない。貧民に与えるほどのグラシアがあるのなら一人でも多くの金持ちを治癒させたいだろうからな。それに……」

 ユフィリアを見れば蒼《あお》い瞳を上下に動かしながらモジモジと落ち着かない。今にも尻尾を巻いて逃げ出しそうなほど頼りない顔をしている。

「あの《《自分至上主義》》のイザベラが貧しい者たちのためにグラシアを使う理由が無い」
「い、イザベラじゃないのかもしれないじゃない? 聖女なんて他にも大勢いるんだし……」




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