《連載中》波乱の黒騎士は我がまま聖女を甘く蕩かす〜やり直しの求愛は拒否します!

「短時間で多くの怪我人や病人の治癒をするほどのグラシアを持つ有能な聖女が、イザベラの他にもいると?」
「いるかも……しれないじゃない」
「例えば?」
「えと、えっと……」

「教えようか? 昼間に駄々をこねて働かずグラシアを温存するような不届者がいるとすれば、可能だろうな」
「だから、私じゃないもん! 私は……見ての通り無能で、グラシアも微弱で、使い物にならないだけでっ」

 レオヴァルトは「ほう」と短く呟くと。
 わざとらしく顎に拳を当てがい、不思議がる体《てい》を装って淡々と述べる。

「……そうか、参ったな。それなら目の前の聖女ユフィリアは名実ともに『無能』という事になる」
「今更ツッコまなくたって、そんなの前からわかってたでしょ?!」

 ならば──と、レオヴァルトは寝台に起き上がったユフィリアに手を伸ばし、銀糸の髪をひと束掬い上げると口元に持っていく。
 ユフィリアを見下ろすレオヴァルトの切れ長の眼《め》が妖艶に眇められた。

「私との《交わり》が必要だな」



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