《連載中》波乱の黒騎士は我がまま聖女を甘く蕩かす〜やり直しの求愛は拒否します!
『ううん。ご主人さまだって、あのとき死にかけてたぼくを助けてくれたでしょ? ご主人さまが嬉しいと、ぼくもとっても嬉しいんだぁ』
《月夜の女神》を背中に乗せた銀狼の巨体は、満ちかけた月を背景にして、一文字に夜空を横切るのだった。
*
早朝の聖なる泉は、清らかな朝陽を浴びて銀製の皿のように輝いていた。
煌めく水面《みおも》に一滴の雫──刹那、真紅の波紋が広がった。
一滴、また一滴と、次々と落ちる鮮血が聖なる泉に赤い波紋を描いていく。
「……穢れは祓えても、聖水に浸したところで傷口は塞がらぬか」