《連載中》波乱の黒騎士は我がまま聖女を甘く蕩かす〜やり直しの求愛は拒否します!
呟きながら、肘までたくし上げていた漆黒の騎士服の袖口を下ろす。
二の腕を滴る血液が騎士服の袖に染みていくが、レオヴァルトは気にしていない。
血液の染みは幸い、黒色の生地と同化してさほど目立たなかった。
──幾ら私とて。獅子と人型の混合種ともなると、流石に苦戦したな。
魔獣との戦いで負傷することは滅多にないのだが、今朝のように多勢に無勢では仕方なかった。
眩しいほどの朝陽を仰ぎ見て、レオヴァルトは、ふぅ、と大きく息を吐く。
都外れの小さな集落への奇襲は、貧しい者たちが住まう場所だった。
被害は少なかったものの、貧村への黒騎士の派遣に消極的なレイモンド卿は、レオヴァルトの補佐として、ほとんど素人の少年騎士をひとり寄越《よこ》した。
実戦経験はこれが初めてだと言ったその少年は、魔獣の巨体を目の当たりにして怯えながら身を固めるだけ。三体の魔獣討伐のみならず、レオヴァルトは少年騎士を擁護しなから戦う羽目になったのだった。
──くそ、レイモンドの奴……あんな子供を戦場に寄越して、殺す気なのか!