《連載中》波乱の黒騎士は我がまま聖女を甘く蕩かす〜やり直しの求愛は拒否します!
「やだ……私ったら、なんで不安なのよ」
ぽふっと、額で枕を叩く。
「レオとの契約を破棄させられて、死ぬのが怖いから? それとも……っ」
──ルグランに続いて、レオにまで裏切られたら。
自分はいったいどうなってしまうのだろう。契約破棄の代償に命まで失って、残りの人生分の恨みを抱きながら冥府を彷徨うのだろうか。
かつてろくに着るものも食べるものも与えられず、路傍の石のように床に転がされていた幼い日の自分と、貧民街の子供たちが重なった。
──貧民街で必死に生きようとしている人々を置いて死ぬなんて、そんなのはいや……!
その時だった。
扉をノックする軽快な音が鼓膜に届く。
グレースが訪ねて来たのかとも思ったが、彼女は今頃、治癒当番の役目を果たしているはずだ。
「誰……?」