恋の微熱に溺れて…
「それじゃ私は次に白葡萄を頼もっかな…」

どうやらお互いにお互いが注文したドリンクが気になっているみたいだ。
嬉しかった。俺が注文したドリンクを気にしてもらえたことが。
京香さんといると、今まで知らなかった感情に出会い、知らなかった自分を知ることが多い。
京香さんも同じだろうか。京香さんも俺と居て、知らない自分に出会っているだろうか。出会っていたらいいなと思った。

「いいですね。お互いに好きなものを共有し合うみたいな感じで」

こうやってお互いに好きなものを徐々に教え合えるのは嬉しい。相手のことをまた一つ知れたみたいな感じで。

「うん。いいね。私もこういう時間が好き」

お互いに今はまだ知らないことばかりだ。だからこそ、お互いのパーソナルな部分を知れることが嬉しいと感じる。
この先も長い時間、一緒に居たとしても、お互いの知らないことを知ることが嬉しいと思い続けられたらいいなと思う。そういう気持ちを忘れないでいたい。

「俺も好きです。相手が京香さんだから余計にです」

気がついたら心の声を京香さんに伝えてしまう。もう心の中だけに留めておけない。溢れる想いを届けたいと先走ってしまう。

「それは私もだよ。慧くんだから…だよ」

そう言われてしまうと、調子に乗ってしまう。もっと求めてもいいのだろうかと。

「嬉しいです。京香さんにそう言ってもらえて」

「私も嬉しい。慧くんだからね」

お互いに微笑み合う。思わず喜びが溢れ出てしまう。
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