恋の微熱に溺れて…
「そう言ってもらえて光栄です。そろそろ料理が運ばれてくる頃かもしれないですね。楽しみです」

事前にホームページやSNS等で料理は確認済みだ。とても美味しそうな料理が写真からも伝わってきたので、美味しい料理を食べられることが楽しみである。

「私も楽しみ。どんな料理が運ばれてくるんだろう…」

その前にまずドリンクだ。ドリンクも気になる。早く飲みたい。焦らされれば焦らされるほど、期待感が膨らみ、どんどん楽しみ度が増す。

「失礼致します。飲み物と料理をお持ち致しました…」

やっと料理とドリンクが運ばれてきた。待ち望んでいたものが目の前に運ばれ、もう口の中は涎で溢れ返っている。

「美味しそうですね。早速、頂きますか」

「そうだね。我慢できないから、食べよっか」

二人して食欲を抑えきれない。目の前に美味しそうな食べ物が用意されたら、人はこんなにも簡単に食欲を丸出しになってしまうみたいだ。

「ですね。それじゃいただきましょう…」

「そうだね。いただきます…」

「いただきます…」

まず一番最初に運ばれてきたのは前菜だ。色とりどりの野菜がお皿の上に綺麗に装られている。鮮やかな色合いに、食欲がそそられる。
フォークで刺し、口元へと運ぶ。口内に含んだ瞬間、一気に料理の味と匂いが、口内と鼻に広まっていき、料理の旨味に舌も心も躍る。
美味しいものを食べると、人って自然と笑みが零れ落ちる。自分の頬も緩んでいるが、京香さんの頬も緩んでいる。

「…ん、美味しい」

その笑みを見ただけで、俺は更に頬が弛緩した。好きな人に美味しいものを食べてもらえて嬉しかった。

「美味しいですね。この後出てくる料理も楽しみです」
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