恋の微熱に溺れて…
「確かに。外で食べるのも悪くないよね」

風情というものがある。それこそ春先には桜が咲くので、花見がしたくなる。
春になったら慧くんとお花見をするのもいいかもしれない。

「春になったらお花見でもしましょうか」

どうやら考えることは同じみたいで。春になったらお花見が実現することを願った。

「お花見しようね。今から春が待ち遠しいな…」

春が訪れるのはまだまだ先だが、早くも楽しみにしている自分がいた。
そしてそれは私だけではなく、隣に居る彼も同じで。一緒に春を待ち遠しく思っているのであった。

「そろそろ帰りますか。冷えないうちに」

真冬にずっと外に居るのは厳しい。場合によっては風邪を引いてしまう。

「そうだね。帰ろっか」

再び手を繋いでお家まで帰った。寒い中、彼の手の温もりを感じることができて、心まで暖かくなった。


           *


お休みの日は時間が過ぎていくのがあっという間で。気がついたら一月三日を迎えていた。
今回のお休み中は慧くんと身体を重ねることはなく。ただ一緒に彼と眠るだけでとても幸せで。穏やかな時間を過ごすことができた。

「慧くん、色々とお世話になりました」

休みは今日で終わりだ。明日から仕事かと思うと、途端に憂鬱な気分になる。

「いえいえ。なんだかこうして離れるのは名残惜しいですね…」

確かに名残惜しい。もっと一緒に居られるのなら一緒に居たい。

「早く一緒に暮らしたいですね。落ち着いたら一緒に部屋を探しましょうね」

早く部屋を探したい。一緒に暮らしたい気持ちが高まった。

「そうだね。一緒に探そうね」

簡単に部屋は見つからない。それぐらい物件探しは難しい。
それでも二人で一緒に探すことに意味がある。その時間すらも楽しいから。

「それじゃお邪魔しました。また来るね」

私達は慧くん家で毎週末、一緒に過ごすことが多く、最近ではそれが当たり前になっている。
いつの間にか慧くんと一緒に過ごす時間に居心地の良さを感じるようになり、彼と一緒に暮らす想像ができるようになった。
今の私には彼と一緒に過ごす時間が大事だと気づいた。だから彼と一緒に暮らしたいと思った。

「また来て下さい。待ってます」

また週末にお邪魔することになるであろう。たくさん休んだので、今週は仕事を頑張れそうだ。
それまでの辛抱だ。早く彼と一緒に暮らす未来が近いことを願った。
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