恋の微熱に溺れて…
「…京香ごめん。今のは私の八つ当たり。私、今、色々と焦ってて…」

優希は恋愛経験が豊富なので、ってきり余裕があるのだとばかり思っていた。
でも違った。人それぞれ悩みや不安がある。優希の弱い部分を見せてもらえて、親友として嬉しかった。

「大丈夫だよ。気にしないで。私でよければ話を聞くよ」

すると優希はゆっくり口を開き、喋り始めた。

「彼の年齢が私より十歳年上なことは前にも話したよね?」

前回、優希の口からちゃんと聞いた。それが何か問題があるのだろうか。

「うん、ちゃんと聞いたよ」

「年齢で相手を決めるのは良くないって分かってるし、私にとって素敵な人だから今の彼以上に良い人なんていないって分かってるけど、将来のことを考えると今の彼とお付き合いを続けて良いのか不安になるんだよね…」

優希の話を聞くまで、年齢差についてそこまで深く考えたことがなかった。
最初は自分の年齢が彼の恋愛対象内に入っているのか気にしたことはあったが、お付き合いを始めてからは全く年齢の差について意識すらしていなかった。
私と慧くんも五歳も歳が離れているので、それなりに年齢差があるが、優希の十歳差は私の倍だ。
何も気にせずにお付き合いできるほど、簡単な年齢差ではない。将来のことってなると誰しも不安は付き纏う。

「何て言ってあげたらいいのか分からないけれど、同じ女性として優希の気持ちはよく分かるよ」

三十歳を目前にすると、色々と考えてしまう。本当に自分が結婚して出産できるのかどうか、不安な気持ちに襲われて。
現実味を帯びてくる年齢に差し掛かってきたからこそ、周りに実現させている人達を見て、焦らずにはいられないのであった。

「そう言ってくれてありがとう。それだけで気持ちが救われるよ」

話を聞いてもらえるだけで気持ちが楽になる。優希はそれだけで救われたんだと思う。

「こちらこそそう言ってもらえて何よりです。それでどうして優希は不安を感じてるの?」

だからといって優希の気持ちを全て分かったつもりではいない。分かっていないことの方が多いはず。
今はとにかく優希の話を最後まで聞くことにした。
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