恋の微熱に溺れて…


           *


あの後、たくさん二人で飲み、女子会を謳歌した。
眠くなってきたところで女子会を切り上げ、次の日に向けて寝ることにした。
そしてそのまま眠りに落ち、朝陽と共に目が覚め、次の日の朝を迎えた。

「京香、おはよう…」

先に目を覚ました優希が、声をかけてきた。
幸い二日酔いはないが、結構お酒を飲んだので身体が重怠い…。

「優希、おはよう。よく眠れた?」

環境が変わると緊張して眠れなくなる人もいる。
特に今回、優希は悩んでいたので心配だ。

「うん。よく眠れたよ。心配してくれてありがとう」

人の気持ちを汲み取るのが上手い優希は、私が心配していたことに気づいたみたいだ。
優希は常に人のことを気にかけている。それぐらい心が優しい子だ。

「そっか。それならよかったよ。起きて朝食を食べよっか」

スマホで時間を確認すると、現在の時刻は八時半。
飲み会をした翌朝にしては早く起きられた方だと思う。美味しく朝食を頂けそうだ。

「そうしよっか。朝ご飯、楽しみ…」

美味しいものを食べれば、自然と心の栄養が漲ってくる。
優希が心の栄養を蓄えることができたらいいな。そんな美味しい朝食を準備しようと思う。

「優希は朝はパン派?それともご飯派?」

どちらにも対応できるように準備しておいた。
ちなみに私はどちらも好きなので、その時の気分で食べたいと思った方を食べている。

「私はパン派かな。パンが好きだから」

そういえば高校時代、優希はよくお昼にパンを食べていたことが多かったかも…。

「優希って学生の頃、お昼によくパン食べてたね」

「え?覚えてたの?恥ずかしいな…。そうだね、昔からパンをよく食べてたと思う」

今の今まで忘れていたが、ふと優希のパン好き発言がきっかけで記憶の扉が開き、思い出した。

「私もさっきまで忘れてたよ。だからどっちがいいか聞いたんだもん」

「それはそっか。懐かしいね。あの頃は毎日が楽しかったよね」

あの頃は毎日が輝いていた。それは将来に対して希望に満ち溢れていたから。
でももうあの頃とは違う。十年の時を経て、私達は大人になった。
もうあの頃には戻れないけれど、今となっては懐かしくて良い思い出だ。
< 250 / 281 >

この作品をシェア

pagetop