恋の微熱に溺れて…
「俺と先程の女性は元恋人関係でした。とは言ってもお付き合いしていたのは高校生の間だけで。ある日突然、向こうから別れを告げられてお別れすることになったので、実際にお付き合いしていた期間は半年くらいでした」
元恋人…ということは二人が話しているのを盗み聞きしていた時に知ったので、今更驚きはしなかった。
でもまさか高校生の時にお付き合いしていた相手とは思わなかった。もっと直近だと思っていた。
「別れてから数年後、俺の前に兄の彼女として現れたんです。俺としては元恋人が兄の恋人として現れたこと、兄が俺と付き合っていたことを知っているのか知らないのかが分からなくて、兄のことを思うとあまりあの人とは関わりを持ちたくないと思って距離を置いてました」
あの日、慧くんは電話に応じなかった。あの日の言い訳をしてくれているみたいだ。
訳を知れて安心した。それと同時に慧くんがこれまでどれだけ辛い想いをしてきたのかを知り、彼の心の痛みに私も胸を痛めた。
「俺はもうあの人に未練なんて一切ありません。だから電話に応じなかったのは深い関わりを持ちたくなかったからです。京香さんに嫌な思いをさせてしまい、本当にごめんなさい……」
あの場面では勘違いしてもおかしくない。
でもそれ以上にあの女性に対して怒りが湧いた。あの女性を許せないと思った。
「そんなのずっと避けるに決まってるじゃない。慧くんの気持ちをもっと大事にしてよ…。こんなのあんまりだよ……」
怒りが抑え切れなくなり、想いが溢れ出た。
次の瞬間、慧くんに抱きしめられた。
「もういいんです。俺には京香さんがいるので。京香さんに出会えて、俺は充分幸せなんです…」
彼の抱き締める力から想いが伝わってきた。
本当に彼はもう過去に未練はないみたいだ。そして私を大事に想っていることもちゃんと伝わってきた。
「私も慧くんに出会えて幸せだよ。だからさっきはすごい焦った。慧くんを失うんじゃないかって…」
この際、自分の想いをぶつけてみた。今の私達には自分の気持ちを素直に打ち明けることが大事だと気づいたから。
「そんなこと絶対にあり得ません。俺は絶対に京香さんを手放さないので。俺の方こそ京香さんを失うなんてことになったらこの世の終わりです」
彼にそんなことを言われてしまったら、私の方こそ彼を手放せなくなってしまう。
彼がいない人生なんてもう考えられない。彼がいなかったら私は恋愛経験がないまま人生を終えていたと思う。
それぐらい彼の存在は私にとって大きくて。彼にとっても私が同じ存在であったことが本当に嬉しかった。
「それは私の方こそだよ。私だって慧くんしかいないもん。これまでも、そしてこれからも…」
先程までの私はもうこの世の終わりを感じていた。
でも今は違う。また彼との将来について信じることができた。
だからもう何も怖いものなんてない。絶対に彼の隣に居ると誓った。
元恋人…ということは二人が話しているのを盗み聞きしていた時に知ったので、今更驚きはしなかった。
でもまさか高校生の時にお付き合いしていた相手とは思わなかった。もっと直近だと思っていた。
「別れてから数年後、俺の前に兄の彼女として現れたんです。俺としては元恋人が兄の恋人として現れたこと、兄が俺と付き合っていたことを知っているのか知らないのかが分からなくて、兄のことを思うとあまりあの人とは関わりを持ちたくないと思って距離を置いてました」
あの日、慧くんは電話に応じなかった。あの日の言い訳をしてくれているみたいだ。
訳を知れて安心した。それと同時に慧くんがこれまでどれだけ辛い想いをしてきたのかを知り、彼の心の痛みに私も胸を痛めた。
「俺はもうあの人に未練なんて一切ありません。だから電話に応じなかったのは深い関わりを持ちたくなかったからです。京香さんに嫌な思いをさせてしまい、本当にごめんなさい……」
あの場面では勘違いしてもおかしくない。
でもそれ以上にあの女性に対して怒りが湧いた。あの女性を許せないと思った。
「そんなのずっと避けるに決まってるじゃない。慧くんの気持ちをもっと大事にしてよ…。こんなのあんまりだよ……」
怒りが抑え切れなくなり、想いが溢れ出た。
次の瞬間、慧くんに抱きしめられた。
「もういいんです。俺には京香さんがいるので。京香さんに出会えて、俺は充分幸せなんです…」
彼の抱き締める力から想いが伝わってきた。
本当に彼はもう過去に未練はないみたいだ。そして私を大事に想っていることもちゃんと伝わってきた。
「私も慧くんに出会えて幸せだよ。だからさっきはすごい焦った。慧くんを失うんじゃないかって…」
この際、自分の想いをぶつけてみた。今の私達には自分の気持ちを素直に打ち明けることが大事だと気づいたから。
「そんなこと絶対にあり得ません。俺は絶対に京香さんを手放さないので。俺の方こそ京香さんを失うなんてことになったらこの世の終わりです」
彼にそんなことを言われてしまったら、私の方こそ彼を手放せなくなってしまう。
彼がいない人生なんてもう考えられない。彼がいなかったら私は恋愛経験がないまま人生を終えていたと思う。
それぐらい彼の存在は私にとって大きくて。彼にとっても私が同じ存在であったことが本当に嬉しかった。
「それは私の方こそだよ。私だって慧くんしかいないもん。これまでも、そしてこれからも…」
先程までの私はもうこの世の終わりを感じていた。
でも今は違う。また彼との将来について信じることができた。
だからもう何も怖いものなんてない。絶対に彼の隣に居ると誓った。