激流のような誠愛を秘めた神主は新米巫女を離さない

***

 祭りは盛況のうちに終わった。
 詠羅が拝殿に侵入してケガをしたと宮司から聞いたときには肝が冷えた。拝殿は無事だったと聞いてほっとした。
 彼女のケガは自業自得で、病院で手当を受けて無事だという。

 夜、美悠からメッセージが届いた。夏祭りに来てくれたらしい。紫緒が忙しそうだったから声はかけなかったと書かれていた。

 素敵だったよ、と感想のあとに斗真の近況が綴られていた。
 彼は「自分を見つめ直す」と退職し、田舎に帰ったそうだ。美悠に「陸里さんに謝っておいてほしい」とことづけたと言う。
 わかってもらえて良かった、と紫緒はこれにもほっとした。

 ミカとは連絡が取れていない。
 あのあと「ごめん」とだけメッセージが来た。
 こちらからメッセージを送っても返信がなく、電話をかけても通じなかった。

 ミカに取り上げられた指輪は、事件の翌日に社務所に落とし物として届けられていて、今は千暁が持っている。

 ミカのしたことは許されることではない。
 だが、彼の境遇を思うと、ただ責めることもできなかった。

 お風呂を出た紫緒は、暗いリビングの窓から満月が明るく輝いているのを見た。
 さきほどまで激しい雨が降っていた。

 祭りの間に降らなくて良かった。後片付けの間もなんとかもってくれた。神のご加護かな、とみんなと笑いあいながら解散した。

 絵麻は結局、厳重注意で済んだ。優奈は主犯として送検され、この後は裁判がある。
 絵麻は巫女をやめると言った。ひきとめても無駄だった。
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