激流のような誠愛を秘めた神主は新米巫女を離さない
「舞はお見事でした」
「ただ夢中で。まるで自分じゃないでした」
「ゾーンに入っていたのかもしれませんね」
「スポーツ選手がなるっていう?」

 信じられない。
 努力をしなければ、そんな状態にはなれないはずだ。
 自分がそこまで頑張れたということだろうか。
 胸がどきどきした。努力が報われたような気がした。

「とても美しくて、私は惚れ直しました」
 紫緒は驚いて彼を見る。
 彼は穏やかな笑みを浮かべたままだ。

 あのときも、と紫緒は思う。
 ミカと対決していたときも自分への好意を口にしていた。
 それどころか、ミカと自分を賭けて勝負をしていた。

 退院後は、千暁は紫緒になにも言わなかった。
 だから、紫緒もなになかったように過ごして来た。

 なのに、こんな不意打ちで言われるなんて。
 紫緒はどう返したらいいのかわからなくて目を彷徨わせる。
 と、その目がありえないものを見つけた。

「虹!? でも真っ白!」
 紫緒の声に、千暁が空を見る。

「珍しい。月虹、白虹とも言われます。英語ではムーンボウですね」
 満月の反対側に大きな白いアーチがかかっていた。幻想的に淡く輝いている。
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