任侠☆バイオレンスラブ

樹さんと一緒に車が止めてある場所へと向かっていく。



すると、樹さんは運転席ではなく助手席の扉に手をかけて開け放った。




「・・・ほら、乗れよ」



樹さんの行動の意図が分からずにポカンとしていると、車に乗るように急かされる。



「あ、はい。ありがとうございます」



「あぁ」



車に乗り込むと、私が完全に車の中に入ったことを確認して扉を閉めた。



そして、グルっと車の周囲を回ってから運転席へと乗り込む。



「シートベルトしろよ。危ねーから」



「分かりました」



樹さんに言われた通り、シートベルトをカチッと音がするまで差し込んだ。



その音を聞いてから、車を発進させる樹さん。



樹さんの運転する車に乗るの2回目だけど、やっぱり乗り心地抜群だな。



安全運転だからかな?



「樹さんって、いつから免許取ってるんですか?」



「1年前。18の時に取った」



運転をしながら答えてくれる樹さん。



1年前で18歳ってことは・・・樹さん、今19歳なんだ。



大人びてるから、もう成人してるのかと思ってた。



「それにしては慣れてるんですね、運転」



「嫌ってほど運転するからな。自然と慣れた。初心者マーク、最近取れたばっかりだけどな」



運転に慣れてるのにようやく初心者マークが取れたと聞かされ、少し意外だった。



樹さんが初心者マークをつけてるのを想像したけど、どこかおかしくて笑ってしまいそうになる。



多分、年齢を知らなかった時にもっと年上なんだと思い込んでたからそのギャップが大きいんだろうな。



「初心者マークって、免許取ってから1年間はつけないといけないんでしたっけ?」



「あぁ。ダセェからつけたくなかったが、つけねぇと圭介に色々言われるんだ。俺がつけてたんだからつけろって」



「ふふっ・・・あははっ。変なところで律儀なんですね」



赤信号で止まった樹さんは、心底嫌そうな表情をしながら話していて、思わず笑ってしまう。



すると、私が笑った瞬間、私のことを見つめて固まる樹さん。



嫌な気分にさせちゃったかな?



「笑っちゃってすみません。でも樹さん、心底嫌そうな顔してるのがおかしくって・・・」



「・・・・・・」



笑いの波が引かないまま謝るけど、樹さんは何も言わないうえに、少し顔が赤くなっているようにも見える。



怒らせちゃったかな・・・でも、怒ってるようには見えないけど・・・。



そう考えてる時、信号が青に変わった。



だけど、樹さんは私の方を見て固まったままだった。



「樹さん、信号変わりましたよ」



「!・・・あぁ」



私が声をかけると、ハッとしたように目を見開き、視線を前に向けて発進した。


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