このドクターに恋してる
 女性が郁巳さんに白い封筒を差し出した。二人の会話から、この女性は郁巳さんのお父さんの奥さんだと確信した。
 郁巳さんとは血のつながりはないが、一応母親という立場の人……。
 私はおかあさんにチラッと見られて、体を強張らせた。
 なんか、怖い……。
 郁巳さんは封筒を受け取ろうとしなかった。

「丁重にお断りしてくださいとお願いしましたよね?」
「そんなお願い、知らないわよ。この方で不満なら、こちらの方はどう? とりあえずそこに座りなさい」
「座りません。今は彼女といるので、お話はできません」
「彼女?」

 私は鋭い視線を向けられて、思わず郁巳さんの腕を掴んだ。

「こちらはお付き合いしている人です。この人と付き合っているので、縁談はすべてお断りします」

 キッパリと言い切る郁巳さんに私は安心した。
 しかし、おかあさんは簡単に引かない。

「誰とお付き合いしようと構わないわ。でも、その方が浅葉家にふさわしいとは思えません。結婚相手はこの中から選びなさい。しっかり見なさい。よろしく」
「困ります。持って帰ってください」
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